女優の富司純子(60)、寺島しのぶ(33)が映画で初の親子共演を果たした「待合室」(板倉真琴監督)が、10月下旬から全国公開されることが決まった。駅前で酒店を営みながら旅人と心の交流を続けるヒロインを富司、ヒロインの若き日々を寺島が演じており、富司は共演に「安心して仕事ができることにつながりました」と喜んでいる。「おばちゃん」「命のノート」 岩手を舞台に、富司と寺島の実力派親子が映画初共演を果たすことになった。
映画は岩手・小繋駅前で酒店を営み、旅人から「おばちゃん」と呼ばれる実在の女性を描いたもの。同駅には、旅人が悩みや苦しみを書き残す「命のノート」が置かれており、女性はそのノートに返事を書き続け、旅人と心の交流を続けている。
03年にこの「おばちゃん」と「命のノート」の新聞記事を読んだ板倉監督が同地を訪れ、「おばちゃん」をモデルにした映画化を構想。「雰囲気がぴったり」と、まずはヒロイン役に富司にオファー。映画では「おばちゃん」の若き日々も描かれることになり「一番の適任」と実娘の寺島に打診し、寺島も出演を快諾したという。
脚本を読んだ富司は「女性の人柄、生き方、信念に触れて、とても心が揺れました。監督の作品に対する温かい思いに深いものを感じました」という。実際に岩手を訪れ、「おばちゃん」にも対面し、出演を決めた。寺島も「こんなご時世に、このようなハートフルで温かい作品に出演できて幸せ」と語っている。
舞台での共演はあるが、スクリーンでは今回が初めて。富司は「女性の現在が『静』だとしたら、若いころの『動』をしのぶが演じる。ということは、とても安心して仕事ができるということにつながりました」と振り返っている。
撮影は05年1月にスタート。ロケでは実際に女性が営む酒店で行われ、富司は女性から東北弁の指導も受けたという。ロケ地となった岩手では3月下旬から先行上映され、5万人を動員。人と人とのふれあいと、岩手の郷愁感たっぷりの映像は、全国でも感動を呼ぶことになりそうだ。
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