9月に江戸落語の大名跡である「柳家小さん」を6代目として襲名する柳家三語楼(58)が11月に襲名披露の全国巡業を行うことが28日、分かった。落語の襲名披露は東京の4つの寄席を回るのが通常だが、今回の襲名はそれに加え全国を巡業する落語界初の快挙。松竹が全面バックアップし、11月3日の京都南座から、千秋楽の27日の新橋演舞場まで全国20か所を巡る。寄席の興行と合わせれば足かけ3か月のビッグな襲名披露になる。
落語界の大名跡の復活に、松竹が全面バックアップすることになった。柳家三語楼改め6代目・柳家小さんの襲名披露が落語界初の全国巡業という形で実現する。11月3日に京都南座を振り出しに全国20か所、27日には新橋演舞場で千秋楽を迎える。南座、演舞場とも襲名披露は初となる。
人間国宝だった5代目・柳家小さんの長男にあたる三語楼は歌舞伎俳優・中村富十郎(76)と親交があり、襲名興行について相談。富十郎が歌舞伎公演を主催する松竹に持ちかけ、松竹が快諾。毎年、歌舞伎の全国巡業を行っており、そのノウハウを最大限に生かし、襲名披露の全国巡業に全面協力する。
9月21日の鈴本演芸場からスタートする寄席での襲名披露興行が10月30日に終了。その直後の11月に20か所22公演。巡業には一門の兄デシの鈴々舎馬風(66)と5代目の孫で、三語楼のおいになる柳家花緑(34)、三遊亭小円歌が帯同。落語協会会長の三遊亭円歌(76)も参加する。京都南座では上方落語協会会長の桂三枝(62)が出演。文字通り東西の落語界を挙げてのビッグイベントだ。
南座、演舞場は5代目も高座を務めていない。三語楼は両劇場に「鬼平犯科帳」で役者として出演経験はあるが、落語では初登場となる。三語楼は「大工調べ」「親子酒」など柳家伝統の滑稽噺(こっけいばなし)に以前から力を入れている。襲名を控えても「今から、新しいことをしたってしようがない。今までやった噺を磨くだけ」と“自然体”で挑んでいる。大名跡の復活にふさわしく、通常の寄席だけでなく、全国に「小さん襲名」を報告する。
◆柳家 三語楼(やなぎや・さんごろう)本名・小堀義弘=養子縁組による結婚で小林から改姓。1947年7月21日、東京都豊島区生まれ。58歳。5代目・柳家小さん(当時・小三治)の長男として生まれる。63年4月に小さんに入門し「小太郎」、67年3月に二つ目に昇進し「小ゑん」。76年9月に3代目・三語楼を襲名し真打ち昇進。戦後生まれ初の真打ち。03年に文化庁芸術祭演芸部門の大賞を受賞。出ばやしは楠公。
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