豪華絢爛な「TSUBAKI」が首位を堅持、ベートーベン、小野妹子の“ありえない"キャラクターで再浮上した東京ガス「ガス・パッ・チョ」シリーズの猛追は、そのインパクトの強さもあって当然の結果と思われるが、あまりのインパクトの“凄さ"に、視聴者がどのような反応を示すのだろうと思われたあの作品が、 6月度テレビCM好感度ランキング(F1F2総合) で堂々のベスト10入りを果たした。
その作品とは、はなわに「高いよ」「買うなよ」と歌わせた「雪国もやし」である。自社のCM対象アイテムを自虐的に扱うことで視聴者の興味を引くという手法は、俳優の八名信夫に「マズイ。もう一杯」と言わせた「キューサイの青汁」が代表的だが、さすがにこのCMでも「もう一杯」と視聴者に“薦めよう"という行為は見られた。
だが、「雪国もやし」は違った。「買うなよ」である。ネガティブの2乗である(「高い」には“高い理念で作られている"という意味が込められているらしいが、多くの視聴者はそのままストレートに受け取っていることだろう)。作る曲作る曲がことごとくダメ出しされて、キレたはなわがやけになって作った歌詞だったとか。
しかし、この戦略が見事に的中した。そのインパクトで歌を覚えてもらい、そのまま歌詞の中にある“商品名"まで覚えてもらうことに成功したのだ。覚えてもらっても買ってもらえなければ、という冷ややかな見方もあるだろうが、そんなことはない。興味本位ではなく、このCM自体に好印象を持った主婦が増えているという。この調査でもF2層の4位に飛び込んだことがその証と言える。「おさかな天国」などと同じ耳なじみの良さが命運を分けた作品だ。
「初めは“?"って思ったけど、凄く気になってお店で探したら、使いやすく買ってしまった」(千葉県/46歳)。
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