「Shall we ダンス?」(1996年)以来になる周防正行監督(49)の最新作「それでもボクはやってない(仮題)」(来年公開)の撮影現場がこのほど初公開された。痴漢容疑で逮捕された主演・加瀬亮(31)演じるフリーターを弁護するヒロインの若手弁護士には、女優の瀬戸朝香(29)を起用。全編ほぼ法廷シーンという作品を通じ、日本の裁判制度が抱える問題点をリアルに描く。
警察の接見室が組まれたセット。敷居で隔てられた加瀬と瀬戸の演技をチェックしていた周防監督が、隣に座る司法監修の担当の弁護士に確認を求めた。「ここでこのノートがあっても、おかしくないですよね」
10年ぶりのメガホンとなる新作は「シコふんじゃった。」(91年)、「Shall we ダンス?」のエンターテインメント性の強いものから一転。痴漢事件を入り口に、裁判制度の現状を真っ向から取り上げる。
「いわゆる法廷モノに出てくるドラマチックなものは、本物の法廷にはないんです。でも、そこが本当はドラマチックなんだよってポイントはある。そこを見つけて描けばいいんじゃないかな」新作に込めた思いをそう説明した周防監督。裁判制度が抱える問題点を、「裁判所は有罪か無罪を決めるところであって、事件を解決するところではないんです」と指摘した。
主人公の金子徹平役には加瀬を、ヒロインとなる弁護士・須藤莉子には瀬戸を起用。「加瀬君はオーディションで一目ぼれ、瀬戸さんはさばさばしたところにひかれました」
弁護士役は2度目の瀬戸だが、法廷シーンはこれが初めて。実際の裁判を2回傍聴し、現実の法廷を肌で感じてから撮影に臨んだ。「監督は本当の弁護士じゃないかっていうくらい詳しくて、一つ一つ的確に説明してくれる。いい現場を作ってもらってます」先輩弁護士に役所広司、徹平の友人・達雄には山本耕史、母親役でもたいまさこが出演。また竹中直人、清水美砂、田口浩正といった周防作品おなじみのメンバーも顔をそろえた。
「毎日が早く過ぎていく。あっという間に年取っていくんだろうね」と久々の現場で笑顔を見せた周防監督。撮影は7月までで、来年公開。
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