俳優・杉本哲太(40)が映画「日本の自転車泥棒」(高橋忠和監督、秋公開)に主演することが2日、分かった。杉本は昨年7月、酔った末、放置自転車を持ち去るという“お騒がせ”を起こしたが、映画は元競輪選手が地元の岩手・釜石を飛び出し、東京・池袋まで、何台もの自転車を盗んで旅を続けるロードムービー。ほぼ吹き替えなしで自転車をこぎ続ける熱演を見せた杉本は「集大成ともいえる作品に出合えた」と手応えを見せている。
杉本が「自転車泥棒」になった。とはいってもこれは映画の話。けがでリタイアした元競輪選手が、頭の中に響き渡るジャンの音に取り付かれるように、家族を捨て、地元の岩手・釜石から、500キロ先の東京・池袋までをひたすらこぎ続けるストーリー。
盗んだ自転車はママチャリ、競技用など9台。上映時間104分のほとんどが、杉本が自転車をこぐシーン。セリフもほとんどない。まさに骨太のロードムービーだ。
この映画の企画が持ち上がったのは約2年前。杉本は田中裕子主演の映画「いつか読書する日」などを手がけた畠中基博プロデューサーから「新しいロードムービーを作ろう」との提案を受けたが、その直後に泥酔して放置自転車を勝手に持ち去る事件を起こしてしまった。
企画が白紙に戻りかねなかったが、本人も深く反省していることから、製作サイドが撮影に踏みきった。杉本は「泥酔していて覚えていないが、本当に迷惑をかけて申し訳なく思った。この映画をどうしてもやりたいと思ったので流れなくてよかった」と話している。
杉本はジムに通い、たくましい太ももを手に入れ、ワンシーン以外はスタントなしで自身で自転車をこいだ。撮影は昨年12月から3か月間。氷点下10度から約20度近くまで、温度差30度を駆け抜けた。
「(映画の主人公は)若いころにやり残したことを探しに飛び出した男。セリフもほとんどなく表現する難しさもあったが、自分の(俳優人生の)集大成ともいえる作品に出合えた」と杉本。苦い事件もあったが、それを打ち消すかのように打ち込んだだけに、印象深い作品になったようだ。
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