沖縄在住の3人組ロックバンド「かりゆし58」の歌「アンマー」が、地元で、人気歌手たちのヒット曲を押しのけ、4週連続で売り上げ1位を記録した。暴力ざたで中学校を退学したボーカルの前川真悟(25)が、母親への感謝の思いをつづった“平成版・母に捧(ささ)げるバラード”。沖縄での快進撃により、23日に全国発売されることが決まった。
「かりゆし58」は沖縄本島最南端に位置する糸満市を拠点に、地元のメンバー3人で昨年4月に結成。沖縄音階を取り入れたロックサウンドが特徴で、初めて発売したシングルが「アンマー」。沖縄の言葉で「母親」の意味。とりわけ糸満市のアンマーは「一家を支える働き者のお母さん」の象徴として知られる。
作詞作曲したのは、ボーカルの前川。中学時代に先輩を殴り倒すなど2度の暴力ざたで退学になったヤンチャな少年が、大人になり、トラック運転手として全国を走り回る合間につくった。
母への感謝の気持ちを実直につづった歌。自分がいくら道を外れそうになっても「必ずやさしい目で見守ってくれていたのが母親だった」という。母・正枝さん(62)は家族の生活を支えるため看護師として日夜働き続け、いまも県内の病院に勤務。前川は「歌で何かを伝えられるのなら、最初に伝えたかったのが母親への思いだった」と、初シングルの曲にした理由を説明した。
現在、沖縄最大手のタワーレコード那覇店で4週連続首位を独走中。全国の有線放送の問い合わせランキングで1位になるなど、その勢いは本土にも広がっており、23日に映像付きの新バージョンで全国発売することも決まった。
タワーレコード商品販促本部の北川達也氏は「親子の殺伐とした事件が起きている中にあって、母と息子の関係がここまでストレートに歌われているのは新鮮。“東京タワー”や“亀田3兄弟”に代表されるように親子関係が注目されている時代だからこそ、この歌が全国的に受け入れられるのだと思う」と分析。メンバーは「素直な気持ちを大切に活動していきたい」と話している。
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