日本・モンゴル合作映画「蒼き狼~地果て海尽きるまで~」(原作・森村誠一、澤井信一郎監督、2007年3月3日公開)の撮影がこのほど、モンゴルの首都ウランバートル郊外で初公開された。現地人2万人のエキストラを動員して、主演の反町隆史(32)演じるチンギス・ハーンの即位式のシーンを撮影。この場面では製作総指揮の角川春樹氏(63)がメガホンを執り「反町自身にチンギスが乗り移り、監督の私にも乗り移ったかのようだった」と、手応えを感じていた。
「即位の山」を望み、どこまでも広がるモンゴルの大草原に集まった約2万人の民衆の前で、反町隆史が王位に就いた。
角川氏は27年前に一度、モンゴルを訪れたときに撮影を決意。モンゴル建国800周年の今年に実現。映画の一番の見せ場となる即位式のシーンが撮影された2日間は自身でメガホンを執った。角川氏は、代表作「天と地と」(1990年)ではカナダ・ロケで4000人のエキストラと1000頭の馬を動員して撮影に挑んだ。「力感のあるシーンは私以上に撮れるものはない」。全編モンゴル・ロケにこだわり、2万人が集まるシーンも「絶対にできる」と言い切り、CGではなく、実際に現地人を集めて撮影した。
大型バス140台、ミニバン450台で集まった民衆。ほかにも国軍兵士200人を始め、馬頭琴奏者やシャーマンらも集結。圧巻の光景の中、撮影に臨んだ反町は「2万人の群衆を見て、チンギス・ハーンの偉大さがより一層感じられた」と、身を奮い立たせた。
全編モンゴル・ロケは、6月3日にクランクイン。3分の1の撮影が終了したが、異国の地での撮影やモンゴル人の気質に当初は日本人スタッフも戸惑いを隠せない様子だった。反町も即位式シーンの撮影前に「最初はやりとりがうまくいかなかったが、やっとこの時点でまとまってきた」と話していた。苦労もあったが「群衆に心から感謝したい」と2万人のモンゴル人とともに撮影に臨んだことで「心」も通じ合わせたようだ。
角川氏は、前作「男たちの大和/YAMATO」に続くタッグとなる反町について「チンギスにふさわしいスケールを持ってきている。前よりも人間的な幅が広がり、演技も深い」と、成長に満足した。
前作は興収50億円の大ヒットを記録したが「同じレベルにある。オールモンゴル・ロケにしたことで、最上級の中国映画も超えていると自負している」と角川氏。こだわりぬいた壮大なシーンが、どのようにスクリーンに映し出されるか注目される。
◆モンゴル 中国の北部、ロシアの南部に位置する。人口約250万人(首都ウランバートルに90万人)。面積は日本の約4倍。平均高度は1580メートルで、草原と砂漠が国土の80%を占めている。モンゴル相撲が盛んで、大相撲でも横綱・朝青龍を始め大関・白鵬、旭鷲山らが活躍している。公務員の平均月収は8000~1万円。
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