女優、桃井かおり(54)が映画「無花果の顔」(12月23日公開予定)で、長編映画では初めてメガホンをとった。このほどサンケイスポーツのインタビューに応じ、「監督をやることで自分のことが嫌いになるかなって思ったけど、バンバンこなせちゃう」と自信たっぷりに語った桃井。一方で、「花ちゃんには苦労した」と主演に抜擢したお笑いタレント、山田花子(31)には手を焼いたようだった。
「ピ~!!」。桃井監督の笛の音が東京・日活撮影所に鳴り響いた。
最初は映画監督ならではの「カッ~ト!」の声が響いていたが、キャストへの細かい要求や演出にこだわることからたちまち声は枯れ、笛での指示に変わっていた。
同映画は自身が編集長を務める雑誌「時刊MOMOIKAORI」に掲載した同名の自筆短編小説を原作に、自ら脚本を執筆。母親の知らない間に子供を出産していた娘の視点を通して、家族の在り方や女性の生き方を描く人間ドラマだ。桃井はこれまで、テレビドラマやショートフィルムなどでの監督経験はあるが、長編映画の監督は今回が初めて。
今回、長編のメガホンをとった理由を「今までも短編は何本かやってきたし、私が撮っちゃった方がいいかな」と笑顔で説明。2年前にハリウッド映画「SAYURI」のロケで訪れて以来、米ロサンゼルスでアパート暮らしをしており、「そこで初めて自分の生活を手に入れた。女優だったから感じられなかった“日常”があったの。言葉も分からない土地では日常は劇的で普通は奇抜。映画ではそれを淡々と描くことで劇的になると思った」と、桃井らしい表現で映画製作の面白さを語った。
自ら母親役を演じ、主演の娘役には「イチジクって、花が見えずに実をつけるから、お尻に根っこが生えてそうなタイプがいい」とオーディションで花子を抜擢したが、「女優になる質の人と、そうじゃない人がいるんだね」と演技指導には苦労した。「花ちゃんを女優にしてあげなくちゃならなかったんだけどね」と反省しつつも、「最高にカッコイイ“オブジェ”にはなってるんじゃない?」と花子をしっかりとスクリーン上に咲かせたようだ。
作家や宝石デザイナーなど多彩ぶりを発揮している桃井にとって「監督として苦労することがほとんどないことに自分で驚く」と監督業がすっかり板に付いた様子だが、「別にずっと監督やりたいわけじゃない。撮りたいものがあれば撮るって感じ。監督やるより女優の方があってるしね」と余裕の発言も飛び出した。
新たな才能を開花させた桃井。今後、どんな新たな表現の世界に進出するのか注目される。
PR