劇団ひとりという、不思議な名前を持ったタレントが、現在、テレビをはじめ様々なメディアを席巻している。お笑い芸人という本業を持ちながら、もともとネタ本を作るつもりで、エッセイとして書いてきた文章が、いつしか小説へと変化していき、ついには50万部を超えるベストセラー、たちまちスポット・ライトを浴びる存在になった。
その小説の執筆に関しては、ほとんど手探りの状態で始め、これまでのお客さんに語りかける独白コントの形を生かして一人称独白になったという。そして、「なるべく背伸びはしたくないなと思いました。自分自身がニュートラルな形で書けるものじゃないとダメだなと」(劇団ひとり)と意識していたと語る。
その結果生まれた、必要最低限の状況描写と、繊細に捉え紡ぎだす心理描写という独自の文体による小説は、本人いわく「(大ヒットは)予想外ですよ。そうとうビックリしました」というベストセラーとなった。はやくも期待が高まる次作について、「自分にないスキルで頑張っても仕方ないので、コントを応用した形になると思いますね」と語る。
また、その一方で彼は、映画、ドラマでの俳優としての評価も高く、常に観る者の印象に残る演技で、監督、スタッフ等からの信頼も厚い。もちろん、お笑い芸人としての活動でも、その独自のパフォーマンスで、熱烈な支持層を獲得している。いくつもの顔を使い分けながら、八面六臂の活躍を見せる。
「何かを作る行為が、基本的に僕の性にあっています。辛いときもありますが、心地良い辛さと言いますか。何かモヤのかかっているなかに、一筋の光が差すような感覚。これは自分にしか分からない、なんとも言いようがない至福の瞬間なんです」(劇団ひとり)
この先のクリエイターとしての幅広い活躍にも注目が集まりそうだ。
PR