今年前半の音楽シーンでは、ドラマ関連のヒット曲が目立った。そのなかでも旋風を巻き起こしたのは、何と言っても修二と彰の「青春アミーゴ」だろう。『野ブタ。をプロデュース』に主演する亀梨和也(KAT-TUN)と山下智久が、劇中の役名そのままの“修二と彰"として期間限定ユニットを結成し主題歌をリリース。同曲はわずか4週でミリオンを達成、その後3月のKAT-TUNのデビューに向けて弾みをつけた。
また、『1リットルの涙』も重要なヒットを生んだ。
徐々に体の自由が利かなくなる不治の病と闘った実在の少女を描いた感動のドラマ。その主題歌となったKの「Only Human」は、切ない曲調が多くの視聴者の涙を誘い、最高5位を記録。Kはその後、1月発売の1stアルバム『Beyond the Sea』が初登場2位となり、日本以外のアジア男性アーティストのアルバムとしては最高順位を記録した。
また同ドラマの挿入歌として大ヒットしたのが、レミオロメンの「粉雪」だ。初登場4位ながら徐々に売上げを伸ばし、最終的に最高2位まで上昇。14週にわたってTOP10をキープ。ドラマの登場人物の心情に重ね合わせたような歌の内容は、ストーリーの進行と共に広く浸透。さらに、同じくレミオロメンの「3月9日」も劇中で使われるなど、理想的な形でドラマとアーティストが連動。これを契機に、そのメロディセンスと詞の世界が広く認知され、続くシングル「太陽の下」は最高2位、さらに、5月発売のアルバム『HORIZON』は初の1位に輝いた。
個人ブログをもとにドラマ化した『鬼嫁日記』からは、中ノ森BANDの「Oh My Darlin’」がヒット。ガールズ・ロック・バンドとして注目を浴びる彼女たちの自己最高となる22位を記録。ボーカルの中ノ森文子が、ギターを背負ったバンド少女そのままの役柄でゲスト出演する場面もあった。この後、1月発売のアルバム『OH MY DARLIN'~Girls having Fun~』は初登場10位となり、ガールズ・バンドの1stアルバムとしては3年10か月ぶりのTOP10入りを果たした。
韓国女優のチェ・ジウを起用した『輪舞曲-RONDO-』からは、絢香の「I believe」がヒット。現役高校生の新人のデビュー作がいきなり話題ドラマの主題歌に起用されたという話題性に加え、圧倒的な歌唱力で注目され、最高3位に。
また、もう一つの主題歌は“韓国バラードの帝王"と呼ばれるRUI(イ・スンチョル)の「さよなら3」。松井五郎の詞による「♪さよなら さよなら…」の切ないサビが印象的で、日本と韓国を舞台にしたドラマに相応しく、ドラマの内容とともに強烈に視聴者に印象づけられた。
『西遊記』からは、Monkey Majikの「Around The World」がヒット。カナダ人のプラント兄弟と日本人2人からなる彼らは、仙台を中心にインディーズ時代から注目されており、オリコンの05年10月度パワーネクストにも選ばれた。「Around~」は、同ドラマのために書き下ろされた楽曲。かつてNTV系ドラマ『西遊記』が由来となっているバンド名、オリエンタルな要素を交えたサウンド、そして英語が多くを占める歌詞がドラマとリンクした。
これらの曲は、ただ番組のオープニングやエンディングで流すだけでなく、ドラマの世界を色濃く反映した曲内容であり、劇中の重要なシーンで効果的に使われたことがヒットの要因として大きい。これによって、視聴者が有線放送なので楽曲を耳にした時に、ドラマの感動を反芻する…という相乗効果を生み出したのである。
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