興行収入50億円、観客動員400万人を突破したヒット映画「男たちの大和/YAMATO」のビデオ&DVD(8月4日発売、レンタル開始)に、歌舞伎俳優・市川海老蔵(28)の映画デビュー作「出口のない海」(佐々部清監督、9月16日公開)の予告編が収録されることが9日、分かった。作品の「戦争について改めて考える」という共通したテーマのもと、東映と松竹がタッグを結成。映画会社の枠を超えた異例の試みが実現した。
東映がライバル会社の松竹を宣伝!? こんな異色の取り組みが行われる。ビデオやDVDに自社の作品の予告編やCMが収録されるのは当たり前。しかし、これが他社の公開前の映画となると話は別だ。
東映が手掛けた「男たちの大和/YAMATO」(佐藤純彌監督)は、俳優の反町隆史(32)や中村獅童(33)、渡哲也(64)ら豪華キャストが出演。戦艦大和に乗艦し東シナ海に沈んだ乗組員たちの壮絶な生きざまを描いた。興行収入は50億円。観客動員は400万人を記録。2005年公開の邦画のNO1ヒットとなった。
一方、松竹の「出口のない海」は、ベストセラー作家・横山秀夫原作で、山田洋次氏と冨川元文氏が脚本を担当。元甲子園優勝投手で、人間魚雷「回天」に乗り込む特攻隊員を演じる海老蔵は、映画初挑戦で主演を務める。現在は9月16日の公開に向けてマスコミ用の試写が行われている。
異色タッグ結成のオファーは松竹サイドからあった。両作は共通項が多い。題材は戦争。舞台は共に1945年。東映の坂上順常務は「『戦争について改めて考える』という同じテーマの作品なので、やってみましょうかという話になった」と振り返る。「出口-」の佐々部清監督と横山秀夫氏のコンビが、東映で04年に「半落ち」を大ヒットさせていることも後押しとなった。
他社のDVDやビデオ作品のCMを収録することは時々あるが、「出口-」は公開前。坂上常務も「公開直前の他社の作品を取り上げるのは記憶にない」と話す。「今後、逆のケースもあるでしょう。これを機会に映画の製作現場もさらに仲良くなれれば」。初の取り組みは、映画業界発展の願いも込められている。
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