タレントの島田紳助(50)が2004年10月に所属事務所・吉本興業の女性社員を殴りけがをさせた事件で、被害女性が4日、紳助と同社に計約4400万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。女性は「事件後、不当に退職させられた」として、同社との雇用関係確認なども同時に求めている。一方、紳助はこの日、テレビ番組の収録を高熱を理由にキャンセルした。
紳助の涙の謝罪会見から1年9か月-。事件は解決していなかった。
事件が起こったのは04年10月。紳助は大阪・ABC(朝日放送)で、レギュラー司会を務める番組の収録前に原告の女性と口論になった。紳助は女性を控室に連れ込み、リュックサックや手で頭を殴ったり、つばを吐きかけたりした。
紳助は事件発覚後の10月28日、東京・神保町(当時)の吉本興業東京本社で会見。涙目で「僕が100%悪かった」と謝罪し、芸能活動を自粛。12月に大阪簡裁で傷害罪で罰金30万円の略式命令を受けた。同月末に翌05年からの活動再開が発表され、05年1月2日にテレビ番組に生出演し復帰した。
しかし、女性側は当初から一貫して民事訴訟を起こす姿勢を崩さず、“涙の会見”にも「事実と異なる説明をした」と不快感を示していた。
事件から1年半以上を経ての提訴について原告の女性は「いまだに島田紳助がテレビに出ているのを見ると、当時の恐怖を思い出してパニック状態になることがあるが、ようやく裁判で争える体調まで回復したので、提訴した」と話している。
関係者によると、女性は頸椎(けいつい=首)のねん挫や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などと診断され今も通院中。仕事も休んでいたが、同社は今年6月「休職期間満了」として、女性を退職させたという。
女性側は「島田さんは事件後の記者会見で暴行を実際より軽微に説明した。また、仕事ができなくなったのは職場での(紳助から受けた)暴力によるPTSDが原因。無理やり退職扱いとしたのは無効」と主張している。
一方、吉本興業広報部は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
◆番組収録休む 紳助はこの日、TBS系(制作・毎日放送)「世界バリバリ★バリュー」(水曜・後10時)の収録が入っていたが、キャンセルした。
吉本興業は訴訟との関連性は否定。この日朝、高熱が出たため、番組スタッフに収録のキャンセルを申し入れ、終日自宅で休養したという。紳助は6月下旬にも扁桃(へんとう)が腫れてレギュラー番組の収録を休んでいる。
吉本関係者は「今回も同じように疲れがたまっていた」と説明。復帰については「様子を見ながらになる」(同関係者)としている。
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