お笑いコンビ「極楽とんぼ」の山本圭一(38)が、無職少女(17)に暴行したとして北海道警函館西署に任意で事情聴取を受けていた問題で、社会人野球クラブチーム「茨城ゴールデンゴールズ」の萩本欽一監督(65)が19日、東京・羽田空港で緊急会見。「山本だけが責められて済む問題ではない。大好きな野球だったけど、やめることにしました」と、同球団の解散を宣言した。たった1人の愚行が欽ちゃんの夢、野球界の夢を打ち砕いてしまった。また、山本はタレント活動の全面中止が決まった。
「ユニホームが好きだった。野球が好きだった。“夢列車”なんてでかいこと言ったけど、どこにもたどりつけないで…」。会見に臨む欽ちゃんのヒザは小刻みに震え、目には涙があふれた。
山本の事件発覚から一夜明けたこの日、欽ちゃんは球団解散という大きな決断を下した。
山本は所属する「茨城-」の北海道遠征に同行。16日夜から17日未明にかけ、函館市内のビジネスホテルで知人が連れてきた少女と酒を飲み、部屋で暴行したとみられている。
18日に山本の所属する吉本興業が契約解除を発表したことで、欽ちゃんも監督として事の重大さを痛感。解散を決めた理由を、「事が事だけに山本だけが責められて済む問題ではない。相手(少女)にも失礼だし、一番野球に失礼しちゃったということに責任を感じる」と、誰よりも野球を愛するが故の決断だったことを説明した。
選手にも球団関係者にも知らせていない電撃発表だった。球団関係者によると、山本以外は婦女暴行に直接関わっていないとみられており、たった1人の軽率な行動が欽ちゃんや選手、球団に関わる全ての人間の夢を打ち砕いた格好だ。
その山本からは17日夜に欽ちゃんのもとに電話があったという。「『山本です。すいませんでした』と言われて、『その先は言うな。内容も知りたくない』とそのまま切った」。そう語る欽ちゃんの表情からは悔しさ、やるせない気持ちがにじみ出ていた。欽ちゃんの会見とほぼ同時刻、山本は吉本興業を通じてタレント廃業を発表。報道陣から「山本に言いたいことは?」と問われると、「球団なくなったよ…。でもアイツは選手の面倒をよく見てくれていた。99%バカだと言いたい。笑いやってるんだから悲しませるなよ」と声を震わせた。
新しい野球の形を求め、地域密着の球団運営や、試合中に行う独自のマイクパフォーマンスで大好きな野球を盛り上げた。平成16年12月5日に球団創設を宣言してから約1年半、幕切れはあまりに早すぎ、あっけないものになってしまうのか。
今後も試合予定が組まれており、チケット販売などの関係から解散時期や所属選手の処遇については「まだ考えられない」と語った。応援してくれるファンやスポンサーの存在もあり、「一緒に考えていってほしい」と訴えた。
「65歳の大きな夢物語でした。できることならどこかでまた野球をやらせてほしい」。欽ちゃんの胸には野球への愛があふれていた。
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