ギリシャに1年間の演劇留学後、ヘアメークアーティストの夫が住む米ロサンゼルスに生活の拠点を置く女優裕木奈江(35)が舞台「無頼の女房」(7月13~19日、東京・新宿シアタートップス)出演のため帰国し、けいこに取り組んでいる。
戦中・戦後の混乱期に生きた無頼派作家と彼らを支える妻の姿を描く、劇作家中島淳彦氏の作品。裕木は作家塚口の妻役で、04年以来2年ぶりの舞台。「海外にいて日本の良さを再発見した。これまで女の子役や恋人役が多かったので、今回の奥さん役は女優のキャリアとして楽しみ」。
04年9月から1年間、ギリシャ留学した。文化庁の新進芸術家海外留学制度に応募し、ギリシャ・バロス島の芸術学校に受け入れ依頼などの手続きも自ら行った。「以前からあこがれていた」という土地で貧乏学生体験をした。英語の授業を受け、寮生活では世界から集まった若者と交流。アテネには一番安い夜行ボートで6時間かけて出かけ、夏休みは農家の離れを借りると、ヤギと隣同士になった。エピロダウロス(古代円形劇場)に通い詰め、ギリシャ劇を見まくった。
「世間も知らずに芸能界に入ったので、バックパッカーみたいなことをしてみたかった。日本語をしゃべる場がないから、驚くほど孤独だったけれど、いい体験になった。度胸がついたかな」。留学後、ロスでクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」のオーディションを受け、4月末に小さな役ながら出演した。仕事の中心は日本だが、ハリウッドでもオーディションを積極的に受けるという。「日本で昼のドラマを見ていたら、ギリシャ悲劇みたいにドロドロしていて面白かった。やってみたくなった」。たくましくなった裕木の活躍が始まる。
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