二子山親方(故人)と離婚後、芸能活動を再開させて約5年になる藤田憲子(58)が、東京・赤坂の草月ホールで上演される「二代目はクリスチャン」(24~28日)で4年ぶり2度目の舞台出演をする。けいこの合間に取材に応じた藤田は「気持ちは新人」とまさに“2度目の青春”を謳歌(おうか)する日々。長男の花田勝さんも観劇に訪れる予定という。迫真の演技で、女優業の本格再始動の意気込みをうかがわせた。
藤田が出演するのは映画化もされた、つかこうへい氏の代表作のひとつの舞台版。演じるのは伊藤つかさふんするヒロイン、シスターの母親・教会マザー。この日は台本を手離して、本番に近い形で通しげいこが行われた。おかみさん時代におなじみの着物姿とは違って洋装。実は小中はキリスト教系の学校に通っていた。クリスチャン役にも抵抗なし。4年ぶりの舞台だが、発声も確かで存在感十分だ。
「特別の特訓は何も。子育てで腹の底から大きな声出してましたから。声がよく通るのはそのおかげ(苦笑い)。自分が舞台を見に行ってせりふがよく聞き取れないほど嫌なことはないので、特に注意してます」。クライマックスで娘を抱き締める場面では、互いの目にうっすら涙が。役にのめり込んでいる。
ちょっとこわそうで近寄りがたいおかみさんのイメージで観劇する人もいるかもしれない。「構いません。あ~、憲子さんだ、と自由に見てくださって新しい一面を知って帰ってもらえれば」と言い「世の中全員に、私の本当の姿を理解してもらうのは無理。多少誤解されても仕方ないのかも、と最近は思えるゆとりが出てきました」と話す顔は穏やかだ。
離婚したのが2001年。昨年その元夫も逝った。現在、勝さんとは交流あるものの、光司さん(貴乃花親方)とは依然ない。かつて二子山部屋を縁の下で支え続け、人並み以上の苦労もした。「私は生まれ変わってもおそらく同じ人生を選択するんじゃないかなって思う。いいか悪いかは別に、31年間尽くしてきた。今はそのお休みをいただいた気持ちも。慰謝料もないので自立して暮らさないとね」
毎日が楽しくて仕方がないという。「役の大小関係なく、演じることがうれしい。充実感もあって気持ちは新人。来年、還暦ですが、通うクラシックバレエ教室では70歳までレオタード着るつもり」志半ばでいったんはあきらめた女優を続けていく夢は色あせていない。
◆藤田 憲子(ふじた・のりこ)1947年9月7日、大分県生まれ。58歳。67年、松竹に入社し女優デビュー。70年に初代貴ノ花の故花田満氏と結婚して引退。おかみさんとして部屋を切り盛りするが、01年8月に離婚し芸能界に復帰。日テレ系「レッツゴー!永田町」、舞台「新・演歌の花道」 などに出演。
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