お笑い芸人、ヒロシ(34)が、大林宣彦監督(68)の新作映画「22才の別れ Lycoris(リコリス)葉見ず花見ず物語」で映画デビューすることが19日、分かった。名匠のラブコールに応え、トレードマークの金髪を上京以来8年ぶりに黒髪に染め、斉藤健一の本名で俳優業に本格初挑戦。純愛作品でフラれる役どころに「しっくりきます」と熱演中だ。
「ヒロシです、『時をかける少女』、『異人たちとの夏』などの名監督の映画に出るとです」
きっかけは、同監督がヒロシの切ないメロディーをバックに語る自虐話芸を気に入りファンになったことだ。「あの瞬間芸に集約しきれない、広々とつかみどころのない重層的人間性に、演技者としての深い可能性を感じた」と同監督。オファーを受けたヒロシは「異人-」などが好きな同監督ファンでもあり、感激して快諾した。
「22才-」は歌手、伊勢正三の「22才の別れ」をモチーフに、主人公の40代サラリーマン(筧利夫)が過去と現在の恋愛に向かい合う純愛物語。ヒロシは、主人公の同僚のイケメンサラリーマン役のため、同監督の依頼で今月1日に行きつけの美容院で黒髪にして7日から福岡で撮影入り。当初「何をしていいかわからず不安だらけ」だったが、同監督の指導の下「大変だけど楽しい」とペースを掴み始めた。黒髪をなでつけ、スーツをバリッと着こなした姿は別人のようだ。
同監督は、初対面し新人俳優として演技指導したヒロシについて「繊細で上品、礼儀正しく知的な努力家。光と影の狭間を表現し得る演技者として育つでしょう」と高く買っている。
劇中の見どころは、ヒロインの清水美砂(35)にフラれる場面。元々、女性にモテたくて芸人になりながら、彼女いない歴7年目のヒロシは「抵抗はありますがしっくりくるし、やりやすい。せめて映画でモテる役をやりたいですが俳優としてまだまだ。経験を積んでがんばります」とモテない悲哀をバネに奮闘中だ。6月上旬まで撮影。公開は来年の予定。
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