故石原裕次郎さん(享年52)の“幻の旅行記”が14年ぶりによみがえる。19回目の命日にあたる17日、デビュー50周年記念DVDが発売され、現在は入手不可能となった短編映画「裕次郎の欧州駈けある記」が収録されていることが9日、分かった。裕次郎さんが欧州各国の名所旧跡を案内する異色の紀行短編映画。59年に劇場公開され、88年にビデオ化されたが、92年に廃盤になっていた。
「裕次郎の欧州駈けある記」は、裕次郎作品の中でも異色の映画だ。欧州ロケに初挑戦した59年の主演作「世界を賭ける恋」の撮影終了後、1週間にわたって欧州各国を旅した様子を収めたプライベートフィルム。当時はまだ欧州旅行を楽しむことができる人は少なく、自分を通して旅行を楽しんでもらおうと、裕次郎さんが企画、監修し、59年に劇場公開された。
裕次郎さんは当時24歳。パリ、ナポリ、ストックホルム、オスロ、コペンハーゲン、スイスなどの名所旧跡に足を運び、自然体で案内する姿が印象的。ナレーションでは「僕がこんなふうにして、何の役もなく映画に出るというのは初めてのことで、ちょっと戸惑っているんです」と語りながらも、シャンソンやタンゴを口ずさむ姿などが収められ、トップスターの開放的な素顔を楽しむことができる。88年にビデオ化されたが、発売元が倒産し、92年に廃盤となってしまった。以後、ファンの間で「幻の旅日記」と呼ばれていた。
今年は、56年「太陽の季節」で鮮烈なデビューを飾ってからちょうど50周年。「石原裕次郎デビュー50周年記念DVDボックス」発売を決めた裕次郎さんの古巣の日活は、ファンの声に応える形で「裕次郎の欧州駈けある記」のDVD化権を取得。同DVDボックスに収録した。日活関係者は「裕次郎さんにとって珍しいドキュメンタリータッチのお宝映像として楽しんでほしい」と話している。
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