中高生を中心に大反響を呼んだ作家、山田悠介氏の都市型ホラー小説「リアル鬼ごっこ」(文芸社ほか)が映画化されることが16日、分かった。突如設定された1週間の“殺人鬼ごっこ”から逃げる物語で、主演には昨年の映画「蝉しぐれ」で好演した俳優、石田卓也(19)を起用。単独初主演となる石田は劇中でとにかく走りまくっており、「走りっぷりを見てほしい」とPR。監督は新人の柴田一成氏。来年公開。
「リアル鬼ごっこ」は、捕まると実際に殺されてしまう“恐怖の鬼ごっこ”をテーマにした山田氏のデビュー作。平成13年に文芸社から発売され、スリリングな展開とそそられるタイトルが若者を中心に口コミで広がり、あっという間に40万部を突破。とくに中学生の間でカルト的な人気を誇り、16年には幻冬舎から文庫版、漫画版も発売された話題作だ。
その一方で、当時作者が弱冠20歳だったこともあり、文章表現力の不足や時代背景の不自然さなどが酷評されたが、読者の間からは、「内容は面白いんだから映画化してほしい」という声が早くから挙がっていた。
今回の映画版では「西暦3000年が舞台なのに時代背景が今と変わっていない」といわれた部分を「舞台は現代にし、主人公が異世界に入り込む」という設定に変えるなど、脚本を約2年かけて練りに練り、問題点をクリア。
鬼から逃げながら真相を解明していく主人公・佐藤翼役には、「蝉しぐれ」で主演・市川染五郎(33)の子役時代を好演し、2005年度キネマ旬報ベスト・テンで新人男優賞を受賞するなど高く評価された石田を起用した。
原作発売当時中学生で、同作の大ファンだった石田は「まさか自分がこの役をできるとは!」と大喜び。クランクイン前に監督から「走るから覚悟して」といわれ、意気揚々とジムに通った。
だが、今月頭のクランクアップまで1カ月で100メートルの全力疾走をリハーサルも含めて100本近くこなすというハードな現場にさすがにバテバテ。サンケイスポーツのインタビューに、「2日目に筋肉痛になりました」と苦笑いしたが、中学時代野球部で鍛えただけに、めでたく“完走”し、「今はめちゃくちゃ気持ちいいです」と笑顔を弾けさせていた。
映画の大きな見どころとなりそうなのが、惨殺シーン。劇中では、鬼に捕まった少女が胴体を真っ二つに切り裂かれる場面などが登場する予定だが、ターゲットは中高生なだけにR指定は避けたいところだ。長編初監督となる柴田氏は撮了後、「手応えはあります。迫力ある内容にしたい」と自信たっぷり。共演は映画「カナリア」でヒロインを演じた谷村美月(16)、柄本明(57)、吹越満(41)ら。
山田氏の作品は、ほかに、女優、黒川智花(16)主演の「8・1」(昨夏公開)、V6の三宅健(27)主演の「親指さがし」(8月26日公開)などが映画化されている。
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